読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

すずめ日記

アメリカ田舎生活。いろいろあるよね。

挑戦すること。

大学生活

今回は『アツイ』お話です。

昨日、通っている大学で人生初の学会発表に参加しました。学会ってよく聞くけど実際はどんなことが行われてるの?ってずっと疑問でした。今までいくつか参加してきましたが、簡単に言うとそれは業績発表&勉強の場です。自分が研究してきた内容を同じ分野に興味がある人々に伝えて、それでみんな何かを学んでまた自分の研究に戻って行く、という。いっぺんにたくさんの新しい情報に触れることができて、とてもエキサイティングな、例えればお祭りのようななかなか楽しいイベントなんです。その時しか会えない、普段は遠くに暮らす友人にも会えたりしてちょっとした同窓会でもあります。

学会の参加方法には3つあります。一つ目は主催者側になること。二つ目は学会で自分の研究を発表する人になること、そして三つ目はその場に行って学ぶ側になること。当然ながら三つ目の参加者になるのが一番簡単で誰でもできるのですが、アカデミックな世界の端くれにいる者として自分も発表する側になりたい!と言うのは世の大学院生の多くが思っていること、だと思います。

さて、今回私が選んだ発表方法はポスター発表と言って、本格的な講義スタイルの発表ではなく、もっと気軽で取っ付きやすい方法です。研究内容をまとめたポスターを作り、それを元に、見に来てくれて興味を持って立ち止まってくれた人に詳しく内容を話すという方法です。何十人もの人を前に話すなんてまだまだできないし、第一そんな場で発表できるような研究成果もない私。しかも学会発表は初めて、なので友人がポスター発表を勧めてくれました。

学会で発表するには、主催者側の審査に通らないと行けません。プロポーザルと言って、自分の発表内容を簡潔にまとめた文章を主催団体に送ります。主催者側はこれは発表に値する内容か、主催する学会の趣旨に沿っているか等を審査して結果を教えてくれます。無事に審査に通ったら、次はポスター制作です。

実際ポスターを作るまで自分の中のポスターのイメージは、数枚の紙に内容を印刷してそれを三つ折りのポスターボードにぺたぺたのり付けするというものでした。小学生の娘が学校の文化発表会などでやっているのと同じような。でも、ちょっと調べてみると、最近の主流はパワーポイントを使って一枚にまとめ、それをひたすら拡大して大きな1枚のポスターにするというもの。ちらっと見ただけで、『あ、私には無理。関係ないや。自分の思う通りにしよう』とすぐ思いました。ところが、その話を聞いた彼(元大学勤め)が『え、それってものすごく素人臭いやり方だよ。学部生ならともかく、院生ならやっぱり一枚に印刷しないと』と珍しく強く言うんです。ゲゲ、そうなの?!と何だか自分には手に負えないとんでもないものに首を突っ込んでしまった感いっぱいの私。しかも!この時点で発表まで10日を切っているという。

やろう、やろう、やらなくちゃ、と言う気持ちはずっとあったんです。もう2ヶ月ぐらい前から、せめて『内容』だけでも作らないとと言う焦る気持ちはずっと、ずっと。なのに日々の暮らしと目前に迫る課題提出に終われて気がつけばあと10日。我ながら泣きたくなりました。

しかも指導はちっともしてくれないくせに批判は激しい指導教官にこの話をしたところ『私の名前入りで素人臭い発表はしないでね、テンプレートあげるから絶対プロフェッショナルのにして!!』って。あくまで自己中な指導教官にげんなりしつつも、やっぱり頑張らなくちゃ行けないのかもとようやくロケットエンジンに火をつけるためのマッチを握りしめました。本当に火をつけてそしてロケット発射までこぎ着けられるのか、かなり疑問で不安で震えながら。

他の人は、長らく続けて来た実験や最近発表した論文などを元に作るポスター。ところが私の場合は参考にしようかなと思う本を読んだだけ、という自分でも薄ら寒くなるような、これでよく発表しようと思うよなとびっくりしてしまうようなスタートでした。でも『こういうことをしたい!』と言う熱い想いはとりあえずあったので、それと本の内容とを元に写真を集め、グラフを作り、地図を見つけ、きれいなフォントで内容を書き、できました!!!!ポスターが。印刷のために大学にデータを送ったときは体中から力が抜けました。

さて学会当日。ポスターをセットして、ふと周りを見渡すと力作のポスター達がいっぱい。始まるまでの時間を使って100枚近くあるそれを見て回りました。今回は大学の学内企画なので分野に関係なく、院生なら誰でも申し込むことができます。と言う訳で内容も盛りだくさん。『死のケア』『ドローン撮影』『スポーツ選手の怪我』『サウジアラビアの結婚事情』等々ありとあらゆる分野の発表があり、見ているだけで楽しくなると同時に、自分もこの場に発表者として立っているんだということがしみじみと嬉しく、誇らしくなりました(実際に渾身の研究結果を発表したらもっと嬉しいんだろうな、とも思いました)。

人文系の私の発表なんて、興味を持って見てくれる人がいるのかなぁと不安でしたが、思いがけず私の分野以外の人が『これは自分の分野ともかぶるから』と熱心に見てくれたり、自分の学部の知らない先生が見てくれたりと思ったよりもずっと盛況でした。

自分の想いを込めたものを他人に見せて、それについて意見を交換したり、批判をもらったり褒めてもらったりする、というのは想像していた以上にエキサイティングなことでした。最初に学会のことを聞いた時(『自分とは縁がない』と思いました)、プロポーザルに何を書いたらいいのかよく分からなかった時、ポスター作りの現実を目の当たりにした時。ずっと自分にはできない、無理だ、と心のどこかで思っていました。それを考えるとこの現実に感無量です。

振り返ってみれば、1年前の今頃は大学院に応募しながらも全く現実味がなく、まさか自分がちゃんと院生としてやって行けるだなんて思ってもいませんでした。それが1年後こんな場に立てているだなんて。人間、いくつになっても挑戦し続けることはできるんです。自分には無理、と思うのは挑戦してとことんやってみてからでいいんです。

大学院生活もまだ一年目、これから長い長い道のりが続きますが、今回のような経験を一つずつ積んで行って少しづつ自信の梯子の段を増やし、必ず最終目標に到達しよう!と決意を新たにした昨日でした。

でも、とりあえず今日はおつかれさま、と言うことでのんびりしようかな。