すずめ日記

アメリカ田舎生活。いろいろあるよね。

今日の出来事

毎週金曜日には学部の授業がある。

小学校4年生までの教員志望の学生を相手に、なぜか専門でもないのに「美術科」を教えている。修士を取った大学では日本語を教えていたけれど、日本語を教えるのは半ばプロだし、何しろ学生の数が少なかった、つまり楽だった。

今在籍する大学は、規模も大きいしいろんな人種が混じっているのだが、教員志望というのは今も昔も、白人の女性が99%と決まっている。というわけで、私の担当するクラスも全員女性、そして一人以外全員白人。白人のお姉ちゃん達、しかも二十歳前後のはっきり言って子供、でも本人たちは大人のつもり、を20人近く相手にして、3時間英語で「教える」状況を想像してみてほしい。というか1年半前だったら、想像しただけで「はい、私には無理」と却下していたと思う。

まぁ、とにかくその授業を教えることで、自分の学費のカバーと月々のお給料をいただいているので、もちろんありがたく教えさせていただいているのである。そして、授業は思ったほど苦痛でもなく、自分の幼稚園教員時代の経験を生かして3時間を楽しく過ごせている。しかも、終われば楽しい週末の始まり、始まり。

だったのだが、先週こんなことがあった。私はまだペーペーということで、一人で教える授業もベテラン先生が一緒にくっついている。彼女は、美術教育の専門家で大変優しく、穏やかで、一緒に働くには理想的な人である。そして、教育にも大変熱心だ。そんな彼女にとって、授業中に学生が携帯をのぞいていたり、パソコンを眺めて、明らかに遊んでいることは許せないらしい。ちなみに、私は正直なところ「どうでもいい」のだ。私も学生として3時間の授業を取っている。中には、ネットショッピングをしている学生もいっぱいいる。3時間という長さがどれだけ苦痛かも、よくわかる。それに何より、この障害並みに下手な英語で教え「させていただい」ているのだ。座っている学生たちに申し訳ない、ソリャァ、こんなの聞いてるより彼氏とテキストしている方が楽しいだろう、というのが正直な気持ちである。当然、「こいつ聞いてないな」というのは気がつくが、だからってあえて注意はしない。

ところが、ベテラン先生はきちんと注意する。しかも、一応、「私」の授業中に。で、先週、その先生はついにきれて全生徒の前で一人の学生を叱りつけた。そうしたら、なんと、その学生は反論するのである。ひぇーーーーだ。日本人的感覚からすると、信じられない、の一言であるが、ここは権利の国アメリカ。学生だって、「不当」に叱られたら反論するのだ。これは、私の関係ないところでどんどん大問題となっていき、同じ学生たちを教えている、これまたベテランの教授も「実はあのクラスは、大変態度が悪い」と言い出し、学生を名指しで批判し出したのである。ちょっと面白かったのは、ここで名前が上がった学生と、私のクラスで叱られた学生が全然かぶっていなかったこと。だから、この先生同士の間でも「あの人は、わかってない」的な空気が流れ始め、(何しろ、やりとりは全部Eメールだから)、本来ちっとも関係のない私まで、なんだかとてもやりづらいのだ。全然外部の教授からも「あのクラス、教えてるんだって??大変だって聞いたよ」なんて言われる始末。いや、皆さんが引っ搔き回さなければ、私のクラスはとても楽しく、学生たちとも笑いの絶えないいい時間なんですけど、、、ととても言いたいけれど、ベテランを差し置いて、ペーペーの私だけが上手にやってますアピールみたいで、それも言えない。そして、さらに悲しいのは、私は誰がどの学生と喧嘩しようと、今まで通り一人一人にナイスに接しているのだが、それが変なふうに影響してややもすると、私がベテラン先生の怒りを利用して学生に取り入っているように見えてしまうこと。

今週で7週目がおわり、来週は恐怖の中間評価だ。こわいこわい。