すずめ日記

アメリカ田舎生活。いろいろあるよね。

大学院への道

今回は、大学院に入学するまで、です。

いつか大学院に行きたいな、とずっと考えていました。実際日本から『アメリカ大学院ガイド』などの本を取り寄せたり、トーフル受験準備のための参考書を購入したりしていました。でも、やはり大学院となると敷居が高い。入学するためには大学時代の成績証明書に推薦状にエッセー等々、読んでいるだけでこりゃ駄目だとあきらめていました。

でも人生どこで何が起こるか分からないものです。就いていた仕事で労働ビザを申請して、てっきり労働ビザをもらえるもんだとタカを括っていたある日、弁護士から連絡があり『恐らく労働ビザはもらえないだろう』と。頭をがーんとハンマーで殴られたような気分でした。空気が薄くなるというか、あぁどうしようと言う言葉が頭を駆け巡りよく実感の沸かないまま職場の教室に戻ったのを今でもよく覚えています。

仕事を終えて帰宅してから本格的に頭を抱え込みました。恐らく半年で正式に却下の通達が来るからそれまでに身の振り方を考えておいてください、と弁護士は軽く言うのですがそう言われても、もうどうしたらいいのやら。頭を120%稼働しているような、でも実際は何も具体的に考えられないようなとにかく焦るばかりのとき、友人がふと『大学院行きたいっていつも言ってたじゃない?やってみたら』というんです。そんな簡単に言わないでよーと思いつつ、もしかしたらそれが正解というかそれしか道はないのかもしれないと思いました。

そうとなったらあとは突き進むばかりです。この決心をしたのは11月の終わり。調べてみると、大学院の多くは受験締め切りまで一ヶ月を切っています。とにかく、『焦るな、焦るな』と自分に言い聞かせ、まず受験する大学院を選びました。専門は学部の時から教育学なので、まずそこにしぼり、次はGRE(大学院を受験する際に課される試験)が必要でないプログラムを選びました。GREというのは、多くのアメリカの大学院で受験することを義務づけている試験で、英語と数学からなっています。その試験で何点以上というのが受験資格になっていることが多いのですが、私は留学生枠になるのでこの試験の他にトーフルを受けなくてはなりません。締め切りまで2ヶ月として、この二つの試験で満足なスコアをとるための勉強を、フルタイムで働きながらすることは無理だと判断しました。なので受験の際GREのスコアを出さなくていい大学院を選ビ、トーフルの勉強に専念しました。

同時に卒業した大学に成績証明書を依頼し、それをアメリカの大学基準に振り替えて評価してくれる機関に送ります。世界各国から学生が来るので、果たして学部の卒業証明にそれだけの価値があるのか、まがいの名前だけの大学ではないのかと言うのをアメリカの大学関係者が判断するために、世界の大学を評価する民間企業があるのです。

またまた同時に、今までお世話になった先生方に推薦状を依頼しました。推薦状は多くの場合大学院に直接送付するようになっています。私の場合は、アメリカで取った資格勉強の際にお世話になった先生方に依頼しました。大体の大学の先生は推薦状を書くのは日常茶飯事なので、あまり恐縮せずに頼んでも大丈夫です。

そしてトフルの試験のための勉強を続け、試験を受けます。このスコアも直接大学院に送られます。試験形式が特殊なので、アメリカに長く住んでいるからとタカを括ってはいけません。

最後に履歴書を作成して、それぞれの大学院指定のエッセーなり決意表明なりを書きます。

全ての手配が整ったら、書類を郵送。あとは大学からの合否のお知らせを待つばかりです。日本の大学入試のような一発試験はありません。留学生なので、英語で面接をした大学院もありました。

結果は100%。受験した全てのプログラムから合格通知を頂きました。実は、修士課程の場合、大学院に入学すること自体はそこまで難しくないのです。ちょっと拍子抜けしました。

11月の末から準備を始め、厳しい冬を乗り越えて春風の吹く頃には進学先が決まりました。しかし、これからまだクリアしなくてはならない大きな問題があります。それは学費です。シングルマザーで、育ち盛りの子供を二人抱え、フルタイムで働いていても最低限生きて行くだけで精一杯。それが学生になって、高い学費を払って、、、なんて今から思うと狂気の沙汰です。

どう言う訳でそのまま進んで行けたのかよく覚えてないのですが、奨学金にも大学のアシスタントシップにも申し込み、節約に節約を重ねてなんとか1年ぐらいは学生生活が送れる目途が立った夏のある日(入学まで2か月を切っていました)、大学院からアシスタントシップに選ばれた旨のEメールが来ました。信じられない思いで内容を読むと、授業料が免除になる上に週20時間の仕事がもらえ、少ないながらお給料ももらえると!

本当に心の底からほっとした瞬間でした。これで、なんとかなる!!実際は『これって詐欺では?』というような事態にもなるのですが、それは入学してからの話です。とりあえず、こうして無事に大学院入学の日を迎えたのでした。