すずめ日記

アメリカ田舎生活。いろいろあるよね。

英製和語

今回は、アメリカに浸透している日本語のお話です。

昨日は大学院の授業がありました。来週から取り組む発表の説明があったのですが、教授が『この発表方法はPecha Kucha プレゼンテーションと言います』って言ったのです。ん?ペチャクチャ??って日本語みたいだなと思って聞いていたのですが、詳しく見てみると本当に日本語のペチャクチャなんです。『ペチャクチャプレゼンテーション』というのは日本人のアーティストが始めた、20枚の写真にそれぞれ15秒に限った説明を付けるという発表方法で、発表時間が6分40秒にきちっと収まり、パワーポイントと違ってスライドに文字が入らないので分かりやすいと、いろんな分野での発表に浸透しているものなんです。

アカデミックの世界も例外ではありません。しばらく人気だったパワーポイントも、最近では"Death by Powerpoint"(極刑パワーポイント)なんて言われるぐらい、説明も長いし、スライドに字がいっぱい入ってるしなどと不評なのでこの新しいプレゼン方法は注目を集めています。

とは言っても、私を含めたクラスメートには初耳の方法で、『大体ペチャクチャって何?』という声が多かったので『ええと、これは実は日本語の言葉で、、、』って皆に説明したのですが、これがとても難しかったです。ペチャクチャって、日本語で言い換えるのも難しいと思いませんか?恐らくそう言う訳で原語の名前がそのまま使われているんだと想像します。

日本語には、外国語をそのまま取り入れた言葉が多いですよね?この間、英会話のレッスンで"fast"の『断食』という方の意味を説明していたら生徒さんが『あ、最近ではファースティングって流行ってるんです』って教えてくれました。英語にも、実は日本語をそのまま取り入れてそれが英単語になっている、和製英語ならぬ英製和語がけっこうあるんですよ。例えば

『豆腐』『カラオケ』『空手』『津波』『寿司』『刺身』『盆栽』『折り紙』などはそのものが英語圏に存在しないのでそのまま使われているようです。ただし、発音はかなり違います。クラーティーってどの言葉だか分かりますか?

また『俳句』や『絵文字』『かわいい』『マンガ』『枝豆』『パン粉』『布団』は同じようなコンセプトのものもあるのになぜか日本語が使われています。そして驚いたのは、娘の通う中学校で大人気の『先輩』。日本の少女マンガをベースにしたゲームの中で使われているようです。

異国で、外国人が日本語の単語をすごく間違った発音で普通の会話に使っているのを聞くのはとても妙な気分ですが、嬉しくもあります。英語圏の人達も、日本に来て和製英語を聞くとこんな気分なんだろうな、と思います。

そう言えば、日本の和製英語はかなりよくできていて、たいていの言葉は英語っぽく発音すると通じてしまうのですが、根本的に間違っている言葉もいくつかあります。

例えば『ビニール』。英語では"vinyl" と書いて『ヴァイナル』と発音します。更に日本語で言うビニール袋は英語では"plastic bag"(プラスティックバッグ)というのです。他にもいくつか日本人で最初にこの言葉に遭遇した人が間違っちゃったんだなぁと思われる単語がいくつかあります。

どんな言語でも、言葉は常に変化しています。数年外国に暮らすと、日本のニュースを読んだり日本にいる日本の人と話していて、意味がわからない言葉がでてくるんです。まるで浦島太郎のようです。その分異国の地で会う日本語には、まるで旧友にでも会ったかのように親近感を覚えます。次に会うのはどんな英製和語か、楽しみです!