すずめ日記

アメリカ田舎生活。いろいろあるよね。

サッカー vs.フットボール

ヨーロッパ(主にイギリス)からアメリカに移り住むと、言葉の端々に戸惑います。更にそこに日本のカタカナが加わると頭の中はかなりかき乱されます。例えば、『エレベーター』。日本で20数年、エレベーターをエレベーターと呼び続けたのちにイギリスに引っ越すと明らかに英語っぽいのにこの言葉が通じない!よくよく聞いてみるとみんな『リフト』って言ってるんです。ふんふん、なるほど、英語ではエレベーターじゃなくてリフトなんだ、と頭の中を書き換えてアメリカにお引っ越し(私はその間イタリアにも住んでいたのでその混乱ぶりったら大変です)。で、アメリカでいくら『リフト』って言ってもまた通じない!何で??発音??たった数年でブリティッシュアクセントが身に付いちゃったのかしら、私。なんて言うことはもちろんなく、よくよく聞いてみるとみんな『エレベーター』って。やっぱり!!エレベーターはエレベーターなんじゃん!!と基本に返って一安心。

でも、全ての単語がこの流れにのってくれる訳ではないんです。中には、日本とイギリスでは同じ言い方なのに、アメリカでは違うとか。はたまた日本語が英語以外の言葉から取り入れたからイギリスでもアメリカでも通じない、とか。混乱甚だしいのですが、中でも一番混乱したのは『フットボール』と『サッカー』。

日本でも、サッカーのことをわざわざフットボールって言う人もいるでしょ?なので私はこの二つは完全に同じ物を指していると信じて疑っていなかったんです。で、アメリカに来てアメリカ人と話すと、妙に話が噛み合ない。いや、それは英語力のせいって、それももちろんありますが、アメリカ人が指差す先にいるのは日本で言う『アメフト』の選手達。•••。私ったら、アメフトがアメリカンフットボールの略だなんてちっともさっぱり知らなかったんです。アメフトって言うスポーツなんだとずーーーーっと思っていたんです。ちなみに、アメリカでは『フットボール』と言えば100%アメフトで、サッカーのことはサッカーとよんでいます。

この勘違いで、かなりの失敗をし、かなりの恥をかきました。だから、という訳ではないけれど、フットボール(はい、ここはアメリカ式で!)には全く興味がないまま11年間過ごしました。興味がなくても、フットボールはアメリカ人のメンタルと生活に深く、深ーく浸透しているので自然と自分の住んでいる地域のチームはどこか、勝ったのか負けたのか、クウォーターバックと言うのがチームの要らしい、ぐらいは頭に入ってきます。でも、その程度。

そんな私が今、アメリカ生活で初めてスーパーボールを楽しみにしてるんです。私みたいな人のために簡単に説明すると、NFLには二つのリーグ(カンファレンスって呼ばれています)があって、まぁ日本のプロ野球のセリーグとパリーグみたいな感じです。で、両カンファレンスからプレイオフなどをへて、—ここがプロ野球と違いますー最後に全米1位を決めるのがスーパーボールです。ちなみに、フット『ボール』だから、スーパー『ボール』って呼ぶんだとずっと思っていたのですが違うんです。英語で書くとball とbowl(お料理に使ったりする、あのボウル)。競技場の形がボウルのようだからスーパーボウルって言うんですって!この二つの言葉、ラジオなどでネイティブがさらっと発音したら、聞き分けられる普通の日本人(つまり私)はほとんどいないと思います。

アメリカ人にとってのスーパーボウルは、日本人にとっての、、なんでしょう??昨年(2016年)のオリンピックのときに、男子体操のメダルの行方を日本中固唾をのんで見守っていたあんな風な熱狂ぶりです。別にひいきのチームが出場しなくても、楽しいからそれに便乗して飲んで騒ごう!!という人も多いです。とにかくみんなが大好き、スーパーボウル。

そんなお祭り騒ぎをシラーっと横目で流していた私なのですが、今年の初め、子供達と彼の家で彼の地元チームの試合をみたんです。最初は『きっとみたいのに、私達がいるから遠慮して言わないんだろうな』と気を使って『フットボールみようよ!』と提案して見始めたのです。そこから続くであろう苦痛の4時間を覚悟して。ところが、彼にルール等を説明してもらい、ついでにサービス旺盛なテレビ解説の内容をふんふんと聞いているとこれが面白いんです!もちろん細かいルールはちっとも分からないし、はっきり言ってどっちが勝ってもいいやぐらいだったのですが、解説の人が『この選手は先週彼女と喧嘩して、、、』みたいな話をすると俄然親近感が沸くから不思議です。で、4時間後にはすっかりパッカーズのファンになりました。

パッカーズはあと一試合勝ったらスーパーボウルに出場が決まります。そして、それとは別リーグでは、我が地元チームも勝ち残っているんです。リーグが別なので両者が対決するのはスーパーボウルのみ!私の長女はフットボールにはちっとも興味はないけれど、地元大好き。という訳で、万が一この二つのチームがスーパーボウルに出場することになったら、彼のところにまた行って観戦しようと計画しています。次女と私は、正直なところどちらが勝ってもいいので、二手に分かれようと思います。

携帯にもフットボールアップデートを設定した私。こんな自分を誰が想像したでしょうか。人間って自分で『こうだ』って思っている他にもいろんな面があるんですね。そして、その新しい自分を発掘するのっていくつになっても楽しいな!